石垣島 ダイビングショップ プロカメラマン中村宏治氏 伊原間の海を語る

【水中写真家 中村宏治氏 伊原間の海を語る 2008年】
水中写真家 中村宏治氏 3年ぶりに伊原間の「サンゴの谷」に潜った。
ここはGフリーの林さんが愛してやまない、サンゴの「聖地」とも呼べる海だ。

「3年の間に、どんな変化が起きたのだろうか?」と興味を持ち、尋ねてみた。
「一昨年、去年と、つづけて大きな台風が来たので、場所によっては傷んだ処もあります…」 と厳しい顔をしている。

早速、林さんの案内でサンゴの海に身を沈めた。ランドマークの様な、浅瀬のテーブルサンゴ群落は相変わらずの様子で、強い直射日光を浴び、 網目模様に輝いていた。しかし、よく見てみると、何層にも重なっていたテーブルサンゴが、 その重なりの数を減らし、尚かつ、少し大きくなっている様に見えた。

しかし、群落全体のバランスを崩しているわけではなく、3年間の波風が通り過ぎていった実感を 感じとる事ができた。一方、周囲に密集するエダサンゴの群落は、そのボリュームを増加させ、 以前の姿が清楚な群落といえれば、今はグラマーな盛りを感じさせる姿に変化していた。

深場の方に降りていくと、最深部に、おなじみのユビエダハマサンゴが林立し、相変わらず、 屋久杉のような佇まいを見せていた。

Msキャサリン&中村宏治氏
石垣島サンゴの谷1 水深10数メートルある「サンゴの谷」の深さが機能し、 そのシンボルを守ってくれたようだ。

「3年前との比較」と言う視点で「サンゴの谷」を 楽しんだ私だが、伊原間の海の力強さを感じた数日であった。

サンゴの白化、ヴィールス性の ホワイトシンドローム、オニヒトデ、地球温暖化、乱開発による赤土流入等々、サンゴを取り囲む環境は 年々厳しさを増す中、「サンゴの谷」を愛する人々、一人一人の個人的比較に大きな変化が起きない事を 願ってやまない。

 

【水中写真家 中村宏治氏 伊原間の海を語る  1】
水中写真家 中村宏治氏 30数年前、僕が初めて石垣島を訪れた頃、石垣島北部の海はアクセス方法が殆ど無い、外来者にとって遠い存在であった。

 師匠の益田一先生と吹通川の河口部で1日中泥にまみれてシオマネキやトビハゼを撮影したり、浦底湾の干潟に群れるミナミコメツキガニの数の多さに腰を抜かしたりした記憶はあるが、潜ったのはもっぱら石西礁湖周辺であった。

今回、G-Freeダイビングサービスの林さんの案内で、初めて石垣北部海域のサンゴ礁を潜るチャンスに恵まれた。サンゴは撮影の被写体としては,出来不出来がその時の天候に左右されやすく、また大自然が完成した造形美をどのようにして切り撮るかと言う問題を抱えた悩ましい奴だ。正直を言って、あまり期待をしていなかった
だが、そんな斜めに構えた僕のサンゴに対する先入観を、健康美に輝く北部サンゴ礁は根底から書き直してくれた。
特に伊原間の「サンゴの谷」は、ある意味でショッキングなサンゴ体験ともいえるだろう。

案内され、リーフ内の深み「サンゴの谷」に泳ぎ込んでいく時、「ムムッ・・これは・・・」と海底の雰囲気が変化するのを感じた。
石垣島サンゴを中村宏治氏撮影
石垣島サンゴの谷2 サンゴの谷」をもうちょっと詳しく説明すると、リーフ内の波の静かなところにある深みで、外洋から押し寄せてくる新鮮な海水はふんだんに供給されるが、台風などで引き起こされる大きな波からは完全に守られたサンゴの聖域なのだ。

この静謐の中で時は滑ったりせず、1秒が1秒の質量を保ちユックリと流れている。V字渓谷の両斜面は様々な種類のサンゴで覆い尽くされていた。
僕は足ヒレの置き場もない、密集と調和の海底を目の前にして、ここはサンゴの「聖域」と言うより、林さんの愛情に磨かれた「聖地」である事に気付いた。まだこの地を訪れた事のないダイバーたちには「伊原間のサンゴの谷を見てから死ね」と伝えたいね。

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